第6章
【文広視点】
「な……何を言ってるんだ?」
俺の声は震えていた。
寛人は大きくため息をついた。
「彼女の全貯金——四百万だ。お前の会社が倒産寸前だったあの頃、江里花が俺のところに来て、俺の名義で出資してくれと頼んできたんだ。自分が出したと知れば、お前が負い目を感じるだろうからってな」
俺は壁に寄りかかり、膝から崩れ落ちそうになった。
四百万。
あの時の救命資金は、江里花のものだったのか。
ここ数年、俺は寛人に会うたびに感謝の言葉を口にしてきた。『お前がいなかったら、今の俺はない』と。
本当に感謝すべき人間は、ずっと俺のそばにいたというのに。俺はただの一度も、彼...
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