第8章

【江里花視点】

 心臓が止まるかと思った。

 病室のドアが静かに開けられ、父と母が入ってきた。

 二人とも、すっかり老け込んでいた。父の髪はほとんど白髪になり、母の目尻には深い皺が刻まれている。入り口に立ち、私を見つめる両親の目元は赤く染まっていた。

「江里花……」母の声が震えている。

「私の子……」

 もう我慢できなかった。ベッドから必死に身を起こし、二人に向かってすがりつく。

「お母さん……お父さん……」張り裂けんばかりの声で泣き叫んだ。

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

 母は私をきつく抱きしめ、その頬を大粒の涙が伝い落ちていく。

「馬鹿な子ね、泣かないで……お...

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