第6章
夏目結奈視点
二年。丸々二年もの間、N市で黙って苦しむ結城隼人をよそに、私はL市で一条蒼真とおままごとを続けた。私が送った親密な写真一枚一枚、彼が歯を食いしばるのを見つめたビデオ通話の一つ一つ――そのすべてが、彼の心が限界に近いという一つの事実を物語っていた。
でも、それだけでは足りなかった。彼を完全に屈服させるには、まだ。
だから今日、私はついに最終手段に踏み切ることにした。
L市のアパートの床から天井まである窓のそばに立ち、夕日が街を金色に染め上げるのを眺めながら、私はスマートフォンを握りしめた。深呼吸を一つして、結城隼人の番号をダイヤルした。
「結奈か?」
彼の...
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