第9章
夏目結奈視点
三日間。
結城隼人が完全に崩れ落ちるのに、それだけの時間で十分だった。
「戻ってこい。話がある」
私はドアの前で立ち止まり、彼の顔をじっと見つめた。
「夏目結奈……」
彼はそう言いかけて、やめた。手で髪をかき乱している。
私は一歩近づいた。彼の顔の隅々にまで疲労が刻まれているのが見て取れるほどの距離まで。無意識に手を伸ばし、小さい頃によくしたように、そっと彼の眼鏡を外した。
「もう子供じゃない」
私は彼の眼鏡をコーヒーテーブルに置き、決して視線を逸らさなかった。
「そして、私があなたにとってただの子供だってふりをし続けるのはやめて」
結城隼...
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