第17章

病院。

しばらくすると、車は病院の敷地内に入った。

佐藤七海は目の前の建物を見上げた。まさか一日離れただけでまた戻ってくることになるとは。また高橋家の連中の嫌な顔を見なければならない。そして、あの男——高橋和也も。

彼女はほとんど佐藤翔太と葉山欣子に押し連れられるようにして高橋和也が入院している特別病室へと向かった。ドアを二回ノックすると、中から高橋裕也の声が聞こえた。「入れ」

すると葉山欣子は、まるで実の娘でもあるかのように、満面の笑みを浮かべながら七海の髪を整え、病室に入っていった。

「高橋社長、七海をお連れしました。この子は何も分かっていなくて、本当に申し訳ありません。どうか...

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