第19章

佐藤七海の目に瞬く間に涙が浮かび、感情が高ぶって携帯を握りしめると、まるで気が狂ったように病室を飛び出した。

……

問い合わせてみると、西村遠もこの病院に運ばれたことがわかった。仕事に向かう途中、突然心臓病が再発して、道端で倒れたのだという。

彼女はこの特別病棟区から、病院の三階にある一般病室エリアへと向かい、一部屋ずつ探し回った。ようやく廊下の奥にある病室で西村遠を見つけることができた。

「お兄ちゃん!」

病室に駆け込むと、西村遠がベッドに寄りかかって点滴を受けている姿が見えた。もう大丈夫そうな様子だったが、顔色はまだ優れなかった。

「お兄ちゃん、大丈夫?」

西村遠は声を聞い...

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