第26章

彼女は仕方なく一歩一歩病院まで歩いた。このままでは傷口が化膿してしまうかもしれないと思ったからだ。

佐藤七海が病院のロビーに入った瞬間、またもや全員の視線を集めることになった。あまりにも派手な姿だったからだ……

そして同時に、その横では……

「鈴木先生、今夜はあなたの当直じゃないですよね?どうして病院に?」若い看護師が恥ずかしそうに尋ねた。

白衣を着た鈴木洋は端正な顔立ちで、苦笑しながら答えた。「別に暇だったから、時間つぶしさ」

午後の高橋和也との「戦い」で、どうして屋敷にいられるだろうか?外に出て気分転換した方がましだった。

鈴木洋はカルテにサインをして看護師に渡した。何気なく...

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