第135章 奇遇

第1章

店員の媚びへつらうような声に、九条綾の手がふと止まった。無意識に顔を上げると、ちょうど視線を向けてきた西園寺蓮と目が合った。

二人の視線が再び交錯する。

だが、綾はわずか二、三秒で視線を外した。

桐島京介もその声に気づいたらしい。振り返るまでもなく、誰が来たのか察しているようだ。

彼は心配そうに綾を見つめ、声を潜めて尋ねた。

「店、変えようか?」

九条綾は首を横に振った。小さく切ったステーキを口に運び、ゆっくりと咀嚼して飲み込むと、淡々と答える。

「ううん、いいの。この店、味も悪くないし。料理も来ちゃったんだからもったいないわ。私は大丈夫」

綾の落ち着いた様子を見て...

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