第142章 全ては光のために

第1章

「そんなのどうとでもなるさ。安心しろ、話は通してある」

西園寺蓮は結城和也を一瞥し、和也は心得たように目配せで応えた。

そのまま和也は九条綾の方へと歩み寄っていく。取り乱す綾とは対照的に、蓮はあくまで冷徹なまでに落ち着き払っていた。

当の綾はといえば、手術室の向こう側に心を奪われており、男たちの密かなやり取りになど気づくよしもない。

十五分ほど経った頃、ようやく重い扉が押し開かれ、看護師に抱かれた光が姿を現した。

「光……」

「ママ!」

光は綾の姿を認めると、堰を切ったように泣き出した。その健気で委縮した姿に、綾の胸が締め付けられる。

彼女は慌てて我が子を受け取り、...

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