第170章 父の借金は娘が返す

西園寺蓮は、車が走り去った方角へ視線を向け、淡々と言った。

「事の真相は、当人同士にしか分からないさ。ただ僕の見立てじゃ、神宮寺賢一は彼女に対しても、アイグループに対しても、随分手心を加えているように見えるけどね」

「どうして?」

「彼の手腕なら、アイグループに在籍した二年の間に何か仕掛けることなんて造作もなかったはずだ。だが、彼は会社を潰そうとはしなかった。会社の行く末は、今回のアイの交渉次第だろう。これは神宮寺賢一が彼女に与えたチャンスなんだよ」

西園寺蓮は事態を冷静に見透かしていた。もし神宮寺賢一が単に九条家やアイ家への復讐を望んでいたなら、手段も機会もいくらでもあったはずだ。...

ログインして続きを読む