第79章 小さな思惑

彼女を娶り、こうして甘やかしているのは、多少なりとも好意があるからなのだろう――西園寺蓮は心のどこかでそう思っていた。

彼は表情一つ変えず彼女を見つめ、飯碗を差し出した。

「口を開けろ」

九条綾はなおも抵抗を試み、わずかに顔を背けた。

「仕事に行きたいの。私を閉じ込める気? 一生ここから出さないつもりなの?」

西園寺蓮は彼女を一瞥し、淡々と言い放った。

「なら、とりあえず半年だ」

「西園寺蓮!」

九条綾は苛立ちを露わにして叫んだ。

「いつからそんな無頼な真似をするようになったの?」

西園寺蓮は動きを止め、意味深な笑みを鼻で鳴らした。

「無頼、か。新鮮な響きだな」

九条...

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