第109章マッドインセミネーション

ナンシーは予備のキーカードでクラウスの部屋の扉を開けた。するりと中へ入り、背後で鍵をかける。

室内は暗かった。空気は発情したアルファの匂いで濃く重い。

その匂いに、ナンシーの脚はふらついた。胸の奥で興奮と恐怖がないまぜになる。

薄明かりの中、ベッドに横たわるクラウスの姿が見えた。上半身は裸だ。

眉間には皺が寄り、呼吸は荒い。落ち着かない眠りに沈んでいるようだった。

ナンシーはヒールを脱ぎ、カーペットを踏んで近づく。

計画は単純だった。服を脱いで隣に横たわり、出来事をでっちあげる。

朝になって誰かに見つかれば、クラウスは言い逃れできない。

ベッドに辿り着き、盛り上がった筋肉を見下...

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