第117話謎の男

三人称視点

カジノの裏口。

ジャスティンは邪魔なごみ箱を蹴り飛ばし、ソーンを追って路地へ飛び込んだ。

「止まれ!」

前へ駆けたものの、路地の突き当たりには濁流の川が走っていた。

すでに一艘の高速艇が水面を切り裂き、遠ざかっている。エンジンが咆哮した。

ソーンは艇尾に立っていた。岸のジャスティンを見下ろし、勝ち誇った笑みを浮かべると、ゆっくりと手を上げ――中指を立ててみせた。

ソーンの隣には、黒い制服の男が立っていた。

男はジャスティンへ冷えきった無関心な視線を投げ、すぐに身を翻して船室へ入っていった。

「くそっ……あと少しだったのに!」

苛立ちに任せ、ジャスティンは桟橋の手...

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