第147章権力の重み

三人称視点

クラウスは扉の前に立ち、エマの姿が少しずつ視界から消えていくのを見つめていた。

エマは一度たりとも振り返ることなく去っていった。

クラウスは目を落とし、自分の手のひらを見つめた。そこにはまだ、エマのぬくもりが残っているような気がした。

彼はゆっくりと拳を握りしめた。鋭い痛みが手のひらを貫き、その痛みが彼をようやく現実へと引き戻した。

ゴールデンムーン族のアルファとして、彼は絶対的な権力を握り、数えきれないほどの命の生死を左右してきた。

それなのに今の彼には、愛する女ひとり引き留めることすらできない。殺された、まだ生まれてもいない我が子のために正義を求めることすらできない...

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