第154話雨の中の殺人

三人称視点

暗い階段室の中で、ハーヴィーは床に崩れるように座り込み、携帯を両手で握りしめていた。

体の震えはまだ止まらない。冷たい汗が背中を伝って流れていく。

「グレイソン……」声はかすれ、今にも途切れそうだった。「全部聞いた。クラウスがさっき出ていった。エレベーターのところでスティーヴンに電話して、エマの部屋へ向かうって言ってた。でも……途中で切れたみたいだった。最後まで話す前に、きっと携帯の電池が切れたんだ」

通話の向こうで、二秒ほど沈黙が落ちた。

それから、グレイソンの声が返ってきた。静かで、不気味なほど落ち着いている。

「落ち着け」

背後でワイングラスの触れ合うかすかな音がし...

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