第157話インスティンクト

ベラの顔には、何ひとつ感情が浮かばなかった。男の視線が庭の奥へ抜けないよう、身体をわずかに横へずらして立ち塞がる。念押しとばかりに、わざとらしく目までくるりと回してみせた。

「さあ。見たことないわね」

彼女は蠅でも追い払うみたいに手をひらひらさせた。「ここにあるのは雑草と野良犬くらいよ。そんな見た目の男がいたら目立つに決まってる。ほかを当たりなさい」

男は目を細め、ベラの顔をじっと観察した。

「本当に?」

一歩踏み込み、彼女の間合いへ土足で入り込む。「昨夜、事故現場の近くで三輪車を見た者がいる」

ベラは肩越しに、庭に転がる残骸を指で示した。

「あれ? 欲しいなら持ってっていいわよ...

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