第170章保護本能

三人称視点

「あなたが彼を匿っているのはわかってる」エマの声は揺るがず、冗談の欠片もない真剣さだった。「それには感謝してるの」

ベラは唇を噛み、何も言わなかった。

「でも、彼は私が連れていく」エマは小さく一歩、前へ出た。

「彼と私はずっと前に離婚したの」エマは落ち着いて言う。「もう私たちの間には何もないわ」

ベラは彼女を見つめた。

「でも彼はひどく傷ついている」エマは言葉を継いだ。「衝撃で脳が損傷して、それで記憶を失ったのよ」

「ここに置いたままじゃ」エマはベラの手に握られた鉄の棒へ視線を走らせた。「きちんとした神経の治療と薬がなければ、命に関わる」

エマは一度、言葉を切った。

「それに、彼を...

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