第172章本能と依存

三人称視点

ベラの影は階段室の角を曲がり、あっという間に見えなくなった。

ダミーは自室のすぐ外に立ち尽くし、手で髪をかき上げた。頭蓋の内側で固まった血が押し広げるような圧が、何に対しても集中することを許さない。すべてを失ったのだ。目覚めてから、ようやく「わかった」と思えた唯一の人物が、いま、背を向けて去っていった。追いかけるために、脚は勝手に動き出し、彼を階段へと運んでいく。

そのとき、廊下の反対側から音がした。タイルの上を車輪が転がる音だ。

緑のスクラブを着た肩幅の広い男性看護師が二人、手術用の搬送ベッドを押してこちらへ向かってくる。側面には革の拘束ベルトがぶら下がっていた。その後ろを...

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