第178章記憶がなくてもアルファの存在

鉄の扉の外からの物音は、ことごとく鮮明に届いていた。

扉が蹴破られる音が、次から次へと続く。医療機器が床に叩き落とされる激しい音。怯えた看護師の悲鳴。

「何をしてるんですか! ここは病院ですよ!」

「邪魔だ、どけ!」

当直の主任看護師は動揺のあまり、まだ手が動くうちに内線電話をつかみ、階下の事務局長室へつないだ。

数分後、副院長が警備員二人を連れて非常階段から上がってきた。踊り場の扉を押し開け、廊下を埋め尽くす武装した執行官たちを目にした瞬間、彼の顔から血の気が引いた。

こじ開けられた扉の数々、隅で身を寄せ合い泣いている看護師たち――それらを一望し、副院長は一歩前へ出る。

「ここは...

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