第227章 狡猾なF

社長の煙草の癮が切れたのを見て取った神谷竜也は、羽鳥業成の背中を蹴りつけて罵った。

「黒川社長がさっきお前に訊いたことが聞こえなかったのか? お前がハッカーか?」

これには羽鳥業成も面食らってしまった。片足を棺桶に突っ込んだようなじいさんが、そんなものに詳しいわけがない。会社で文書一つ作成するにも、秘書を呼ばなければならないほどなのだ。

羽鳥業成は震えながら答える。

「黒川社長、わたくしはハッカーなどではございません!」

黒川颯も、彼ではあるまいと見当はつけていた。この老いぼれの頭にどれほどの知識が詰まっているかなど、よく知っている。商売においても小細工は得意だが、真っ当なやり方で...

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