第280章

伊井瀬奈と鳳響司は遊園地で午後いっぱい過ごし、夕食時になると綾辻修也からファッションショーに誘う電話がかかってきた。このショーでは綾辻修也の作品も展示される。彼女が今回帰京したタイミングはちょうどそれに間に合うのだから、顔を出さないわけにはいかない。

「鳳様、この後友人と約束がありますので、私はこれで。もしお酒が飲みたいのでしたら、二環路の方へ向かってください。バーが立ち並ぶ通りがありますから」

 鳳響司は鼻をこすった。恩知らずなやつめ、この午後は一体どっちがどっちに付き合ってやったと思っているんだ?と心の中で毒づく。

「まあいいだろう。俺への飯の借りは、また日を改めて返せ。こっちの菓...

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