第299章

伊井真はそんなくだらない要求を無視し、真剣な表情で警告した。

「俺の妹にちょっかい出すな、いいな? 二度言わせるなよ」

 鳳響司は腰に手を当て、為す術もなく立ち尽くす。長年の付き合いだが、こいつがシスコンだと気づいたのは初めてだった。まさか妹の恋愛にまで口出しするとは!

 一生面倒を見られるわけでもないだろうに。

「わかったよ」

 鳳響司は口ではそう約束したが、心の中ではこう考えていた。もしもいつか、瀬奈が俺に惚れたら、兄貴のお前なんて知ったことか。俺様はお前の義弟になってやる、と。

 彼はそう言うと、またいそいそと台所へ野菜を摘みに行った。

 伊井瀬奈は四菜一汁を作った。彼女...

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