第310章

「ゴルフ場での一件以外に、あいつはまだ君に付きまとってきたのか?」

 伊井瀬奈は口の中の食べ物を飲み込んでから答えた。

「あと、あなたが熱を出して寝込んだ時。夜が明けてから彼が家に来たわ。でも、私が急いで逃げたから、それ以上は追ってこなかった」

 黒川颯は怒りで鼻息が荒くなった。まさか黒川耀司が自分の妻を追いかけて、自宅まで来ていたとは!

 人としての最低限のラインを完全に踏み越えている!

「瀬奈、錦園に戻ってこないか?君が残していったものを見に帰ってきてほしい。君が一番気に入っていたカップも、キッチン用品も、君が編んだ手作りの置物も、それに君の服も全部、綺麗に保管してある。君が育...

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