第317章

伊井瀬奈は綾辻修也のメッセージを見ながら、表情を変えずにかすかに笑った。

その皮肉めいた笑いを黒川颯が捉えた。

「何を笑ってるんだ?」

彼が尋ねた。

伊井瀬奈は感情を収めて答えた。

「何でもない、会社のことよ」

伊井瀬奈は綾辻修也のメッセージを鳳響司に転送すると、鳳響司から即座に返信が来た。

【これがベストタイミングだと思う!】

伊井瀬奈がJ市に来てから数日、ある結果を待っていなければ、とっくにS市に帰りたかった。月ちゃんを家に残してきて、安心はしているものの子供が恋しい。

会社にも彼女が処理すべき仕事が山積みだった。

伊井瀬奈の気分が少し晴れやかになり、家族に何のお土産...

ログインして続きを読む