第322章

伊井瀬奈は関連書類を取り出し、皆に見せびらかした。

「今、私がこの会社の筆頭株主です。前に来て確認していただいても構いません」

その一言で、その場にいた全員が呆然とした。黒川織江のような野次馬たちもお喋りをやめ、目の前で起きている事態に集中する。

皆、羽鳥汐里への追従をやめて顔を見合わせるが、誰も口を開こうとはしない。

先日の株主総会では、社内の二大勢力が激しく対立していたところに、羽鳥社長の娘を名乗る者が現れて場を収めたばかりだった。ようやく局面が安定したと思いきや、今度は若い娘が自分が筆頭株主だと名乗り出たのだ。

彼らは信じられなかったが、事の重大さを鑑みて、心の中では疑ってい...

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