第342章

武藤拓真は子供が好きだ。特に女の子は、見ているだけで癒やされる。彼はしゃがみこみ、伊井月に手招きした。

「お嬢ちゃん、月ちゃんって言うんだろう? おじさんは君のママのすっごく仲の良い友達なんだ。猫ちゃんを買いに連れて行ってあげようか?」

伊井月は顔を上げて伊井瀬奈を見やった。ママからは、知らない人から物をもらったり、知らない人について行ったりしてはいけないと教えられている。目の前の派手な格好をしたおじさんは見たことがない。たかが猫一匹で騙されたりはしない。

「ママが言ってた。知らない人から物をもらっちゃダメだって。いらない」

綾辻修也が一歩前に出て、同じようにしゃがみ込んだ。

「義...

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