第347章

伊井瀬奈は彼に直接尋ねた。

「どうしたの?」

黒川颯はバルコニーに視線を向け、そちらへ行くよう促した。その神妙な面持ちに、伊井瀬奈は彼の後についていった。

黒川颯は一本の煙草を取り出して指に挟んだが、火はつけないままだった。風が彼の額にかかる髪をそっと揺らす。伊井瀬奈は、彼が以前はそれほどヘビースモーカーではなく、たまに一本吸う程度だったことを思い出した。

「瀬奈、お前には双子の姉妹がいるのか?」

その点では彼と伊井瀬奈の考えは一致していた。伊井瀬奈もそうではないかと疑っており、自分には双子の姉妹がいるのかもしれないとさえ思っていた。だが、物心ついてからこの想像上の姉妹に会ったこと...

ログインして続きを読む