第358章

伊井瀧の昂りかけたばかりの欲望は、一気に足元まで冷え切ってしまった。脅迫と懐柔なんて、なんの能があるというのだ!

黒川颯は、ちびっこが小さな口を尖らせ、名残惜しそうにそのロボットから手を離したのを見ていた。あっさりと諦めてしまうとは。自発的にパパと呼ばせるのは、そんなに難しいことなのだろうか?

そう考えると、やはり月ちゃんの方が聞き分けがいい。

黒川颯のこちらのオフィスは比較的広く、オフィス内で使われているのはすべて自社製のスマート製品だった。

伊井瀧と伊井月はこれで面白い遊びを見つけ、一つのスマートカーテンを相手に長いこといじくり回していた。開けては閉め、また開ける、の繰り返しだ。...

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