第361章

武藤社長は黒川颯に目をやり、それから彼の後ろにいる女性と二人の可愛らしい子供たちに視線を移すと、胸の内に何とも言えない酸いものがこみ上げてくるのを感じた。

やはり黒川家は運がいい。孫を抱くという幸運は、自分には巡ってこなかった。

武藤社長は黒川颯の手をぐっと掴んだ。その濁った瞳は、まるで心労の絶えない老いた父親のようだった。

「颯、君たち若者同士の方が話が通じるだろう。叔父さんの代わりに、あいつを説得してやってくれ」

黒川颯は、この件に変化の余地はなく、徐々に受け入れるしかないと分かっていた。しかし、老いた武藤社長の無力な姿を前にして、断りの言葉を口にすることはできなかった。

「武...

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