第383章

 夜、伊井瀬奈がキッチンに立った。この家で彼女が料理をするのは、これが初めてだった。

 黒川颯はベッドに横になりながらも手を休めることなく、ノートパソコンを抱えて多くの仕事を片付けていた。週末に伊井瀬奈が二人の子供を連れてS市へ帰るため、彼は近々の仕事を整理し、比較的急ぎのものを優先的に処理し、急がないものは後回しにする必要があった。

 もちろん、彼もS市についていくつもりだ。

 J市における事業の重心は、祖父が言っていたように、少しずつS市へ移していかなければならない。

 伊井瀬奈が料理を終えて食卓に並べたが、黒川颯はまだリモート会議中だった。週末だというのに、会社の核心的な管理職...

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