第400章

伊井瀬奈は鼻の奥がツンとなり、堪えきれない涙が瞳に溜まる。まるで、いじめられた子供が親の顔を見て安心したかのようだ。

今や、彼女にとって伊井真こそが心の支えであることは、否定しようのない事実だった。この支えがもたらす安心感は、他の誰にも代えがたい。

黒川颯がもたらす感覚とは違う。この血の繋がりからくる頼もしさは、彼女に安らぎと落ち着きを与えてくれる。それは、何があろうと無条件に支え、信じてくれるという感覚だった。

伊井真は眉間をぴくりとさせ、大きな手を伸ばして彼女の前髪を整えてやる。

「もう大丈夫だ。怖がるな」

伊井瀬奈は自分が安全であることなど当然わかっていた。兄のそば以上に安心...

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