第402章

S市。

伊井瀬奈は一晩ぐっすりと眠ったおかげか、体調はすっかり回復していた。

伊井真は彼女が朝食を平らげるのを見届けると、そのまま病室で執務を始めた。帰る気配は微塵もない。それどころか、彼の秘書がひっきりなしに病室を訪れ、書類を搬入したり業務報告を行ったりと、午前中は目の回るような忙しさだった。

手持ち無沙汰な伊井瀬奈は、部屋の中を行ったり来たりしていた。退院したいと訴えても、伊井真は首を縦に振らない。今日いっぱいは大人しく過ごし、退院手続きは明朝にするよう命じられたのだ。

「兄さん、もう会社に戻ったらどう? そこにいられると、私が気を使うわ」

五体満足な自分のせいで、彼の仕事を邪...

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