第412章

伊井瀬奈は自分の会社のことを思い浮かべ、さらりと口にした。

「もしかしたら今後、仕事でぶつかることもあるかもしれませんね」

なにせ同じ業界だ。伊井瀬奈もハイエンドブランドの構築に心血を注いでいる以上、国内を見渡せば、黒川グループこそが最大のライバルとなる。

黒川颯は車を発車させ、本線に合流させた。

「瀬奈、これからはお前が俺を助けてくれ。S市はお前の庭だろう?」

あまりにも唐突な弱音に、伊井瀬奈はらしくないと思わずにはいられなかった。こと仕事において、彼は常に支配者であり、誰かに守ってほしいなどと口にするタマではない。

他人に手を差し伸べるか、あるいは踏み潰すか。彼にあるのはその...

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