第415章

二人がオフィスから出ると、待ち構えていたのは数十もの視線の一斉射撃だった。

伊井瀬奈は、あの石川悦子という小娘に一言釘を刺しておく必要があると感じた。余計な口を叩かせないためだ。職場の「クールでデキる女」というキャラ設定は死守せねばならない。たったこれだけのことで、それを崩壊させるわけにはいかないのだ。

階下へ降りて、車に乗り込む。

黒川颯は神谷竜也を連れていなかったため、自然と彼が運転席に座る。伊井瀬奈は助手席でスマホを握りしめ、石川悦子にメッセージを打ち込んだ。

『今日のことは他言無用。破ったら減給だから!!!』

伊井瀬奈のこの小さなアシスタントは、裏表のない性格だ。普段からじ...

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