第422章

伊井瀬奈は電話を切ると、問いかけた。

「黒川社長もご一緒してよろしいですか? 陸上社長は構いませんか?」

陸上睦月は肩をすくめ、どうでもいいといった表情を見せる。

「構わないよ。僕たちもしばらく会っていなかったし、ちょうど旧交を温めるいい機会だ」

陸上睦月はスーツケースをそのまま伊井瀬奈のオフィスに放り出し、二人は下へ降りた。

エレベーターを出るなり、ロビーでスーツを完璧に着こなして待っている黒川颯が目に入った。二人の視線が交錯し、黒川颯の目はすぐに伊井瀬奈の背後にいる陸上睦月に注がれた。

恋敵同士の対面、まさに一触即発の空気だ。

伊井瀬奈は妙に頭皮が痺れるような居心地の悪さを...

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