第438章

伊井瀬奈はハンドルを切り、会社の方へと車を走らせた。

オフィスの駐車場に車を止めると、そこにはすでに黒川颯が待っていた。

街灯が彼の影を長く伸ばしている。

車を降りるやいなや、彼が大きな手を差し出してくる。

「飯は食ったか?」

その手に自分の手を重ね、二人は並んで歩き出した。

「あなたがいないから、適当に済ませたわ」

黒川颯が新しく借りたオフィスは、『カルマジュエリー』と同じ階にある。エレベーターを降り、そのまま彼の会社へと向かった。

J市から黒川グループの社員が一部異動してきており、ここ数日で新人もかなり採用したらしい。今の時間はすでに退勤時刻を過ぎており、数百平米あるオフ...

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