第5章
良浩は足を止めた。その唇には、見るに堪えない皮肉な笑みが張り付いている。
「由梨、お前、ずいぶんと演技の腕を上げたな。死んだふりか? そんなことで俺がほだされるとでも思ってるのか」
彼は白布の端を乱暴に掴むと、勢いよく捲り上げた。
照明の下にさらされたのは、透き通るほどに青白い顔だった。
固く閉ざされた瞼、紫色に変色した唇。硬直したその体はまるで石膏像のように冷たく、生気のかけらもない。
良浩の手が中空で凍りついた。吐き捨てようとした罵倒が、喉の奥で詰まる。
「……由梨?」
探るような声だった。彼は震える指先を伸ばし、彼女の頬に触れようとする。
だが、指が触れた...
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