第121章 ジョーンズ

私たちはオフィスの扉の前で、いつまでも名残惜しそうに別れを引き延ばしていた。彼は私の手を握ったまま、どうしても放そうとしない。

「もう、早く戻って。会社、やること山ほどあるでしょ」

可笑しくなって、軽く手を引いてみる。けれど彼は、むしろぎゅっと力を込めた。整った顔いっぱいに、未練が滲んでいる。

「朝っぱらから俺のオフィスの前でいちゃついてるとはね」

背後から、からかうような声が飛んできた。

「モントクレアさん。今日は直々にお越しで?」

ブランドン教授だ。

ジャレッドは渋々と私の手を離し、振り返った。教授に向き直った瞬間、さっきまでの甘さはすっと引いて、代わりに真面目で誠実な表情...

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