第143章 解放された

スローン視点

受話口の向こうが、ふっと不自然なほど静まり返った。

アネットの言葉が、アイネイアスの急所を正確に抉ったのだろう。

「離婚しましょう」

アネットは迷いも未練もなく、言い切った。

「弁護士はこちらで手配する。財産分与も、私の取り分は一円たりとも譲らない。これから先、あなたが誰とどうしようが勝手にすればいいわ」

「アネット! お前、そんなこと――!」

アイネイアスがようやく狼狽した声を上げる。離婚沙汰が表沙汰になれば、グループへの打撃は致命的だ。

けれどアネットは、彼の怒鳴り声など最初から耳に入っていないみたいに、淡々と通話を切った。

ツーツー……と冷たい話し中の音...

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