第38章 安物の女

スローン視点

彼はスーツの上着を脱ぎ、白いシャツの袖を肘下までまくっていた。露わになった前腕は引き締まり、筋肉の線がなめらかに走っている。

暖色の灯りが、彼の真剣な横顔に落ちる。鋭い輪郭をふっと和らげて、妙に生活感まで漂わせた。

見とれていた――そのとき、湯気の立つパスタの皿が、私の前にことりと置かれる。

「食え」

彼は向かいに腰を下ろすと、顎で皿を示した。

麺の上には焼き加減のいい目玉焼きがのり、青ねぎの緑が散っている。香りがふわっと鼻をくすぐった。

私は箸を取り、黙って一口。トマトの甘酸っぱさと卵の香ばしさが舌の上でほどける。……意外と、悪くない。

「どうだ?」

身を少...

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