第52章 別れのディナー

スローン視点

心臓が、ひゅっと空振りした。

祖母……?

反射的にイザベルへ視線を投げる。彼女は血の気を失い、ケイラの手を掴む指先が小刻みに震えていた。

「……イリヤ……」

イザベルの声には、かすかな震えと――縋るような懇願が滲んでいる。

けれどイリヤは聞こえなかったみたいに、私へ手を差し出した。わだかまりの欠片もない、あたたかな笑みを浮かべて。

「はじめまして、スローン。イリヤ・ランカスターよ」

ランカスター。

その姓が、澱んだ水面に落ちた小石みたいに、胸の奥で小さな波紋を広げた。

イザベルが口にしていた、私とわずかな血縁がある従兄――クリスチャン・ランカスター。

そし...

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