第62章 ウェディングフォトを撮り直している

スローン視点

「スローン、お腹空いたでしょ」

アネットは気の毒そうに私の頬を撫でた。

「ここでちょっと待ってて。何か食べるもの、買ってくるわね」

ほどなくして、さっきまで人の気配で満ちていたVIPルームには、私ひとりだけが取り残された。

豪奢なくせに息苦しいこのウェディングドレスをまとい、大きな姿見の前にぽつんと座る。まるで高値のついた商品みたいに、誰かに選ばれるのを待っているだけの存在。

その静寂を、耳障りな声がいきなり引き裂いた。

「これ、スローンじゃない。何? もう次の男を見つけたの? 相変わらず手が早いのね」

私は顔を上げた。

鏡の中に映っていたのは、今いちばん見た...

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