第66章 仕事より君が大事だ

スローン視点

――そこにいたのは、ジャレッドだった。

彼がどれほど前からここに座っていたのか分からない。ただ暗闇の中、黙ったまま私を見つめている。その瞳だけが、ぞっとするほど冴えて光っていた。

「さっき……誰の名前を呼んだ?」

沈黙の夜に、声だけがやけに鮮明に落ちる。押し殺したような、危うい張り詰め方を孕んで。

心臓が、ひゅっと跳ね損ねた。

「グレイソン」

彼が代わりに口にした。ひと文字ひと文字、歯の隙間から絞り出すみたいに。濃い探りが、言葉そのものに絡みついている。

私は目を伏せ、刺さるような視線から逃げた。両手でシーツを強く掴む。指が白くなるほどに。

日記帳をめぐる、狂...

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