第77章 君の後ろに立つ

ジャレッドの視線は、ケイラの顔に一秒たりとも留まらなかった。

彼はケイラの泣き言も、腕に縋りつく指先も、まるで最初から存在しないみたいに無視して――その深い瞳に映っているのは、私だけ。

抱き留めていた腕をほどくと、今度は私の頬を両手で包み込む。親指の腹が、赤くなった目尻をそっと撫でた。

それから視線がゆっくりと下りていく。頬、首筋――そして最後に、私の手を取って掌を開かせる。

「……引っかかれたか?」

低い声。怖じ気づいたような緊張が、わずかに滲んでいた。

爪は力を入れすぎて白くなり、手の甲には、ケイラが暴れたときについた薄い赤い線が一本。

私は首を横に振った。

周りなんてど...

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