第78章 花火

スローン視点

彼のその言葉が、さっきの口論でざわついていた私の心を、すっと撫でてくれた。

私は呆けたように彼を見つめた。瞳の奥に沈んだ、濃くてほどけない賞賛の色。見えない手で心臓を掴まれ、ゆっくり締めつけられるみたいに。

レストランの騒ぎはすでに収束していた。クリスチャンはケイラの腕を掴み、半ば引きずるように外へ連れていく。ガラス越しに、入口で言い争う兄妹の姿がまだ見えた。

ケイラはこのまま引き下がれないのか、店内を指さして感情的に何かを叫んでいる。けれどクリスチャンは冷えた顔のまま、有無を言わせず彼女を車へ押し込んだ。

去り際、ケイラの怨嗟に濡れた視線が人混みを貫き、私に突き刺さ...

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