第83章 離婚しない

スローン視点

私はすぐには駆け込まなかった。救急ホールの外に少し距離を取って立ち、ガラス越しに中を見つめる。

ジャレッドが数人の医師に食い下がるように何かを確認していた。張りつめた横顔。眉間に刻まれた深い皺。あれは演技じゃない。ケイラを案じているのが、痛いほど伝わってくる。

胸の奥が、ずん、と鈍く痛んだ。胃の底からこみ上げるむかつきが、また喉元までせり上がる。

――もう帰ろう。

そう思って踵を返しかけたとき、途切れ途切れに会話が耳へ滑り込んできた。

「現在は意識が戻っていませんが、バイタルは安定しています。今夜は入院で経過観察を……」

……そういうことだったのね。

誤解か...

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