第87章 乗り込んでくる

スローン視点

彼がきっぱりと背を向けて去っていくのを見送った瞬間、胸の奥の疑念だけが、雪だるまみたいに膨らんでいった。

私はドアを閉め、いつの間にか背後に来ていたジャレッドへ書類袋を差し出す。

「あなたの」

受け取った彼は、それをソファへ放り投げた。視線は私から外れない。

「……あいつ、何を言った」

「何も」

首を振り、さっきのやり取りをそのまま伝える。

「でも、私を見る目が変だった。言いたいことがあるのに飲み込んでるっていうか……何かで、迷ってるみたいで」

ジャレッドはふっと手を伸ばし、私の頬を軽くつまんだ。口元に、意味の読めない弧が浮かぶ。

「君に申し訳ないと思ってる...

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