第90章 逮捕

彼はすぐにバルコニーから戻ってきた。夜風が、眉間に残っていた最後の陰りまでさらっていったのだろう。代わりにそこにあったのは、すべてを掌の上で転がし終えたあとの、肩の力が抜けた余裕だった。

彼は私のそばまで来ると、ごく自然に椅子の背へ腕を回した。深い黒の瞳には、かすかな笑みさえ宿っている。

祖母は何よりも鋭い。彼の機嫌が上々だと一目で見抜き、手にしていたティーカップを置いた。

「そんなに嬉しいことでもあったのかい。言ってごらん、ばあちゃんも一緒に笑わせておくれ。ひとりでこそこそ笑ってないで」

ジャレッドはわざと焦らすように、薄い唇を意味ありげに吊り上げた。

「祖母さん。モントクレア家...

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