第93章 救援

彼のその、失うのが怖くてたまらないみたいな顔が、可哀想で――でもどこか可笑しくて。私は自分から背伸びして、強張った顎先にちゅっと口づけた。

そのキスは、まるでスイッチだった。

彼は瞬時に腕の力を緩めたのに、それでも不安が拭えないのか、両手で私の頬を包んだまま離さない。黒い瞳は真剣そのもの、眉間に皺まで寄せて、長い説教が始まる。

「向こうに行ったら、男と必要以上に近づくな。特に、下心が見え見えのやつ」

「自分のことはちゃんと守れ。飯は決まった時間に食え。無理もするな」

「いちばん大事なのは――」

言葉を切り、視線が私のお腹へ落ちる。声の重さが、今までにないほど増した。

「子どもを...

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