第94章 深夜の恐怖

濁った目の奥で、欲と卑しさがぎらついていた。

私が目を覚ましたと見るや、男は手を引っ込めるどころか、ポケットから濡れた布を取り出し、私の口と鼻へ押し当ててきた。

鼻を刺すような刺激臭が、一気に突き抜けた。

――気絶させる気だ!

だめ。私が倒れたら、赤ちゃんが……。

私は残っている力をかき集め、脚を跳ね上げて男の下腹部へ思いきり蹴り込んだ。

「ぐっ……!」

予想していなかった反撃に、男は鈍い呻き声を漏らし、よろめいて二歩ほど下がる。

腹を押さえたむくんだ顔が、瞬時に怒りで歪んだ。私を見る目は、今にも噛み殺しそうな獣のそれ。

「ビッチ!」

唾を吐き捨て、もう取り繕いもしない。大...

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